電子版黒歴史ノート

愛と誠実のカンパニュラ(完結済)

おおざっぱな時系列 ヒュウガサツキ編 前半 (B3章 求めすぎた愛の凶器)

 B世界にて殺鬼(サツキ)と呼ばれる人食いの鬼がはるか昔、人気のない山奥でひそかに暮らしていた。

 そのサツキはえらく人畜無害で美人なおなごの顔をしているが、油断をしていると首元から被りつかれ、食い殺されてしまうと近くの集落では噂になっていて、頭を見て、キツネの耳が生えているかを確認しないといけないとされていたが、サツキのいるとされる周辺には集落を作らないようにされている風習だけは残り、そのような話も噂のようになっていき、さらにはおとぎ話と次第に現実味が薄れていく。

 

 しかし、その裏で人食いの鬼と呼ばれるサツキは実在し、はるか昔に集落の者が置いて行った生贄とされる赤ん坊を何人も大事に育てていたのである。

 その赤ん坊の養子が育つと食い殺すのではなく、自らの術である「ヒュウガ流の忍法」を教えていた。

 その養子の一人である、ヒュウガキサラギはサツキのことを本当の母親のように愛しており、自分が一番の養子であると思っていた。

 しかし、サツキの愛を信じ切れずにキサラギはある日、自分以外の養子を殺してしまう。

 それに対して悲しんだサツキは「違う生物では子供のように育てても何かがダメなのか」と思い悩んだ末にキサラギを殺すことを決意したが、キサラギはすでに消えてしまった。

 

 それからしばらくの月日が流れ、サツキの住処の周りにはまた新しい集落ができるようになり、サツキはまた自分は恐れられるのかと思い、あまり集落のほうにはサツキから近づかないでいたが、ある日、サツキの住処の周りにある男が近づくことになる。

 

 その男はハヅキタンと言い、その集落の長のような存在であり、ハヅキの一族は男性しかおらず少しむさくるしい感じであった。

 長のタンはサツキと顔を合わせると、友好的な態度で、サツキと交流をする。

 そして、タンは息子のハヅキレンを紹介するが、レンはサツキに対してライバル心があることからか、あまり友好的な態度ではなかった。

 

 その後、ハヅキレンとの交流も深めていくサツキはハヅキレンとの友情的なものを感じていた。

 

 しかし、ある日の夜にサツキは自分の周りの集落が燃えていることに気づき、サツキはレンのことが心配になって燃えている集落のもとへと急ぎ駆けつけるも、そこにはレンの姿はなく、その親であるハヅキタンや他の者はすでに死んでおり、明らかに殺されたような跡が残っていることからサツキはまさかと思いながらも、キサラギのことを思い出し、その予感は見事に的中してしまう。

 

 キサラギはサツキのすべてを奪うようにして、養子を殺し、次には友好を深めた集落すら焼き討ちしていたのであった。

 

 これにはサツキも怒り狂い、キサラギに対して殺意を向けるも、キサラギは悲しい目をしながらまたしてもサツキから逃げるようにして素早く撤退していく。